世界が恋する「抹茶」~海外ブームの熱気と、いま食べたい抹茶スイーツ

抹茶ラテを片手に街を歩く観光客、SNSにあふれる鮮やかな緑色のスイーツたち―気づけば「MATCHA」は、世界中の人々をすっかり虜にしていました。ほろ苦くて、奥深くて、どこか懐かしい。日本にずっとあったこの一杯が、いま国境を越えて愛されています。海外で巻き起こる抹茶ブームの熱気から、国内でいま味わえる最新スイーツ、そして実際に会いに行きたくなるお店まで。抹茶をめぐる物語を、一緒にひもといていきましょう。

世界で加速する「MATCHA」ブーム

輸出額は1年で2倍以上に

数字を見れば、これがただの流行りではないとわかります。財務省の貿易統計によると、2025年度の緑茶輸出量は13,125トンで、前年度から42%も増加。金額にすると847億円で、なんと2.2倍にまで膨れ上がりました。

内訳を見ると、抹茶を含む「粉末状の緑茶」が全体の約7割を占めており、輸出をけん引しているのはまぎれもなく抹茶です。原料となる「てん茶」の生産量も、この10年間で2.7倍に増加。数字の向こうに、世界中で抹茶へ手を伸ばす人たちの姿が見えてきます。

SNSが生んだ「マッチャガール」現象

この熱狂の火付け役はSNSでした。写真映えする京都の抹茶体験が観光客のあいだでバズを生み、「これだけ抹茶を買った」という投稿の型が「マッチャ・ガール」というひとつのペルソナへと育っていったのです。気づけば世界中のカフェがメニューに抹茶を加える連鎖が起き、海外のある小規模店舗型のコーヒーチェーンでは、2025年までに売上の半分超を抹茶ラテが占めるようになったといいます。

年末には社名から「コーヒー」の文字を外したというのですから、その熱の入れようが伝わってきます。アメリカや韓国をはじめ、健康志向の高い国を中心に市場は拡大しており、抹茶はもう単なる流行ではなく、日常に溶け込む飲み物として定着しつつあるのです

国内の抹茶スイーツ最前線

コンビニ各社が「新茶の季節」に本気の勝負

海外の熱気に呼応するように、国内でも抹茶スイーツはいま花盛りです。セブン-イレブンは「抹茶新茶の日」である5月22日を前に、宇治抹茶と北海道十勝産小豆をメレンゲ生地で挟んだ「雲どら」など、新作スイーツ3品を4月28日から発売しました。ローソンも負けてはいません。

天保7年(1836年)創業という京都・宇治の老舗茶舗「森半」との5回目のコラボとなる「抹茶フェア」を5月18日から開催し、全8品を展開。求肥で抹茶クリームと粒あんを巻いた「もち食感ロール」(376円)など、専門店にも引けを取らないクオリティの一杯が、数百円で手軽に楽しめる時代になりました。 

聖地・京都では「進化系抹茶」が続々

本場・京都では、王道からひとひねり加えた新しい抹茶スイーツまで、幅広く出会うことができます。老舗茶商「森半」の抹茶を使う専門店「MACCHA HOUSE 抹茶館」の「宇治抹茶ティラミス」(950円)は、ヒノキの升にマスカルポーネチーズと抹茶をたっぷり詰め込んだ一品。升を開けた瞬間に広がる緑と白のコントラストは、思わず写真に収めたくなる美しさです。

さらに注目したいのが、宇治の一番摘みてん茶を自家焙煎し、石臼で挽いた「ロースト抹茶」の専門カフェ「抹茶ロースタリー」。焙煎度合いを「ライト」「ミディアム」「ダーク」の3段階から選べるという、コーヒーカルチャーの発想を取り入れた新感覚の一杯に出会えます。

「濃さ」と「食感」—抹茶スイーツの最新トレンド

いま抹茶スイーツを語るうえで欠かせないキーワードは「濃さ」です。かつては「ほんのり抹茶風味」が主流でしたが、現在は苦みと旨みをしっかり感じられる濃厚系が人気の中心。福井の専門店「抹茶庵」のように「世界一の抹茶の濃さ」を掲げてフォンダンショコラやカヌレを展開する店も登場しています。

また、セブン-イレブンの「もこ」シリーズに代表される「もちもち」「ふわふわ」といった食感との掛け合わせや、ティラミス・バスクチーズケーキ・カヌレなど洋菓子との融合も、いまやすっかり定番になりました。和と洋の垣根を越えた自由な発想が、抹茶スイーツの世界をどこまでも広げ続けています。

ブームの裏側—品薄と価格高騰という課題

けれど、この華やかなブームの裏側で、静かな課題も生まれています。抹茶の卸売価格は、2024年比で昨年がおよそ2倍、今年もさらに約2倍となる見通しで、茶葉レベルの卸売価格は2年前の約4倍にまで達しているといいます。世界的な需要拡大がうれしい反面、安価な海外産が国内に流入しているという指摘や、てん茶ではない粉末茶が「抹茶」として流通し始めているという品質面の懸念も聞こえてきます。

だからこそ、私たち消費者にできることがあります。産地や茶葉の情報をきちんと開示している商品を選ぶこと。その小さな選択の積み重ねが、本物の抹茶文化を守り、支えることにつながるのではないでしょうか。

 

抹茶に会いに行こう――全国のおすすめショップ

ここまで読んで、抹茶に会いに行きたくなった方へ。最後に、実際に足を運んで本物の一杯を味わえるお店を、全国から2つご紹介します。どちらも、旅先でふらりと立ち寄りたくなる、そんな場所です。

伊香保抹茶365(群馬県渋川市)

伊香保温泉、風情ある石段街の一角にたたずむ、抹茶と和スイーツの専門店。温泉街をそぞろ歩きしながらひと休みに立ち寄れば、抹茶のやさしい甘みが旅の疲れをそっと癒してくれます。
住所: 〒377-0102 群馬県渋川市伊香保町伊香保68
営業時間: 09:00〜17:00
電話番号: 070-9327-8075
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抹茶庵けんしん(滋賀県草津市)

滋賀県草津市、駅前の喧騒から少し離れた場所にひっそりとたたずむ、隠れ家のような抹茶カフェ。SNS映えする抹茶フォンデュや季節替わりのパフェはもちろん、抹茶だし茶漬けなど食事メニューも充実していて、つい長居したくなる空間です。
住所: 〒525-0034 滋賀県草津市草津2-11-24
営業時間: 火・木・金・祝 11:00〜18:00/水・土・日 9:00〜11:00(モーニング)・11:00〜18:00/月曜定休
電話番号: 077-574-8067
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まとめ—世界とつながる一服の緑

SNSを通じて世界中に広がった抹茶は、いまや日本を代表する食文化のアイコンになりました。コンビニで気軽に買える新作から、京都の専門店で味わう本格派、焙煎という新しいアプローチ、そして伊香保や草津のような旅先で出会う一杯まで。抹茶の楽しみ方は、かつてないほど豊かになっています。ほろ苦くて、奥深くて、どこか懐かしい。世界中が夢中になっているこの一杯を、本場にいる私たちこそ、この季節にもう一度、味わってみませんか。

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