
石川県・金沢は「加賀百万石」と称された豊かな文化を持ち、京都・松江と並ぶ日本三大和菓子処のひとつに数えられます。茶道が盛んな加賀文化のもとで、繊細な細工や上品な甘さを持つ和菓子が磨かれてきました。全国から美食家や和菓子愛好家が金沢を訪れ、老舗菓子店で銘菓を購入していきます。日本の伝統文化・食文化に深い関心を持つ国内外の旅行者にとって、金沢のスイーツは必食の一品です。なかでも全国的に有名な石川のおすすめスイーツをご紹介しましょう。
森八
長生殿(ちょうせいでん)
長生殿は、金沢で寛永二年(一六二五年)から続く加賀藩御用菓子司・森八がつくる、四百年の歴史を誇る名菓で、日本三名菓の随一とも称される格式高い落雁です。上質なもち米からつくる寒梅粉と、風味豊かな和三盆糖を主な材料とし、木型で一つひとつ打ち出してつくられる打ち菓子で、紅白に彩られた気品ある佇まいが目を引きます。「長生殿」の名は加賀藩の時代にゆかりを持ち、茶人・小堀遠州の筆によるものと伝えられるなど、由緒の深さでも知られています。口に含むと、和三盆ならではの上品で奥行きのある甘さがほろりととろけるように広がり、後には静かな余韻が残ります。素材と製法にこだわり、伝統の技を受け継ぐ職人がていねいに仕上げるその味わいは、時代を超えて愛されてきました。新潟の越乃雪、松江の山川とともに日本三名菓に数えられる逸品として、茶席の菓子はもちろん、あらたまった贈答や金沢の手みやげとしても喜ばれ続けている、加賀を代表する伝統銘菓です。
金沢うら田
どんつくつ
余情乳菓どんつくつは、金沢で長く菓子づくりを続ける老舗・金沢うら田がつくる、金沢土産の新定番として生まれたお菓子です。そのユニークな名は、金沢を代表する伝統芸能「お座敷太鼓」の軽快な音色「どんつくつ」に由来し、芸妊が奨でるリズムが夕暮れの茶屋街に溶け込むさまをイメージして名づけられました。さつまいものペーストをたっぷりと使い、ミルクやバター、白生餡などを合わせて仕上げた乳菓で、さつまいもの芳醒でやさしい甘みと、ミルクのまろやかなコクが一体となっているのが特徴です。ひと口ほおばると、なめらかな生地がゆっくりと口の中でとろけていき、甘さのなかに余韻が静かに広がって、どこか金沢の情緒を感じさせます。金沢の伝統文化と特産のさつまいもを融合させた、和と洋の魅力をあわせ持つ味わいが多くの人に親しまれています。上品で愛らしい佇まいと個包装の食べやすさから、金沢を訪れた記念の手みやげや、大切な方へのお茶菓子・贈りものとしても喜ばれる一品です。
諸江屋
落雁(らくがん)
落雁は、金沢で江戸時代末期の嘉永二年(一八四九年)に創業し、一七〇年以上の歴史を重ねてきた落雁専門店・諸江屋を代表する和菓子です。落雁は、米などの穀物からつくった粉に砂糖や和三盆を合わせ、木型で押し固めて乾燥させた干菓子で、諸江屋では加賀に伝わる伝統の製法を守りながら、上質な素材を用いてていねいに仕上げています。口に含むと、ほろりと軽やかに崩れ、素材本来の自然な甘さと和三盆ならではの上品な風味が、静かにとろけるように広がります。歴史的な由緒を持つ「方丈菓子」や「加賀宝生」をはじめ、愛らしい姿で人気の「花うさぎ」など、格式ある品から親しみやすいものまで幅広くそろっているのも魅力です。昔ながらの味わいを大切にしながら、現代の暮らしにも寄り添う菓子づくりを続けており、茶席の菓子はもちろん、あらたまった贈答や金沢の手みやげとしても喜ばれています。ひと口ごとに金沢の歴史と風情を感じさせてくれる、加賀を代表する伝統銘菓です。
